幻の「梅染め」、金沢で復活 加賀友禅…
加賀友禅の原点、発祥の地に回帰
室町時代に誕生し加賀友禅の原点とされながら、明治以降に途絶えてしまった「梅染め」の技法を、学び普及しようとする機運が金沢で盛り上がっている。十九日、梅染め技法の第一人者山本晃さん(61)=京都市在住=を金沢市に招いての勉強会が開かれた。出席した呉服店経営者や加賀友禅作家らは、梅の木から抽出した染料を用いた「幻の技法」に目を見張った。
梅染めは、梅の古木から抽出した染色液と、ミョウバン・梅の木灰・鉄漿(てっしょう)の三種の媒染剤を混ぜ合わせる無地染めの技法。
山本さんによると、この梅染めや、お国染めと呼ばれる模様染めなどの染色技法に花鳥風月など絵画性を帯びた模様を加えることで、加賀友禅染めが江戸時代に形成されたという。しかし、明治以降は化学染料が発達し、梅染めが行われることはなくなった。
山本さんが梅染めを現代に再現しようと決意したのは約三十年前。金沢市役所が一九二五(大正十四)年に発行した「金沢市史工芸編」に、梅染めに関する記述があるのを見つけたのがきっかけで、以来、文献などを元に手探りの研究を重ね、梅染めの技法の確立に成功した。
山本さんを囲んでの勉強会は、金沢市問屋町の呉服卸、兼六会グループ本部丸六株式会社で開かれた。山本さんは、梅の若木から古木までの樹皮や枝、コケなどからさまざまな色を取り出すまでの苦労などについて紹介した。
山本さんは「金沢は梅染め発祥の地であり、最後まで残った地でもある。加賀友禅の伝統が受け継がれた金沢で、梅染めの技法が復活することを願っている」と話した。出席者からは「材料選びからこだわる姿勢に、物づくりの原点を感じた」などの感想が聞かれた。
(2005年1月20日北國新聞掲載記事を引用させていただいております。)
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